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もうこれ以上リサイクルできないから、いいと思ったんです。
資源を循環リサイクルして使い切る訳ですから。
最初に思い立ったのは、かなり前です。自社でISO14001を取得したのはいいけれど、取り組み内容にも限界があるんですね。電気をまめに消すとか、裏紙を使う以外に何かないか・・・と。
そこで考えてみると、ビルメンテナンスというのは毎日ゴミ回収もしている訳ですから、それをトイレットペーパーにリサイクルして、自社商品にできないかと思ったんです。
最初は、簡単に考えていたんですよ。長くお世話になっているお客さまにご賛同いただいて、依頼ルートも見つけた。うちはただOA紙を回収して、循環型リサイクルの輪に入れてもらえればいいと思ったのですが、そんなに甘いものではなかったです(笑)。
お客様ごとにポリシーをお持ちなので、ご要望にどこまでお手伝いできるか、が難しいんですね。分別方法自体もなかなか理解していただけませんでした。「ダンボールや新聞は、トイレットペーパーにならない」とか、「牛乳パックや紙コップは?」とかね。最後には、「じゃ、たばこの銀紙は何になりますか?」と聞かれたときには、さすがにもう投げ出したくなりました(笑)
あとは、輸送と保管の問題。自社で発注するとなると、10トントラックで一度に納品されるので、保管場所が必要になります。うちのビルのワンフロアは、トイレットペーパーだらけです。そういったことも考えると、ビルメンテナンス業者がこのプロジェクトをやるのはかなり荷が重いのかなと思いましたね。
はっきり言うとね、赤字です(笑)。保管代、配送費、パッケージ印刷費等々を考えると・・・。
でもそんなことより、私たちの力で社会的に意味のあることをやっている、というのは会社としての誇りなんです。
そうですね。自社のプライベートブランドを作ることもできました。
でも、私たちの最終的な目標は、ビル全体を管理させていただく、「総合メンテナンス」なんです。清掃だけでなく、設備・警備はもちろんのこと、電球の取り替えに至るまで。それに環境活動としてはトイレットペーパーも使っていただいて。
昔は、どこの家でも近所に馴染みの電気屋さんなどがあって、何かあるとすぐに相談できましたでしょ。
そんなふうに、地域に密着した総合ビルメンテナンス会社として、オンリーワンになりたいと思っているんです。
メンテナンスをしっかり行っていると、きれいな状態で維持管理できる。ということは、建物の資産価値も保つことができるし、ランニングコストを抑えることができます。
そのためには、日常的な清掃だけでなく、定期的にビルクリーニング技士による清掃が必要なんです。
ただ、日本ではメンテナンスにお金をかけるという発想がなかなか定着していないので、理解していただくのに時間がかかることもあります。ヨーロッパなどでは、古い建物でもしっかりメンテして長く住むことに価値を置いていますけどね。
そうですねぇ。テクニックの話もできますが、その前に大切なのは管理する人の気持ちだと思います。
自宅でもオフィスビルでも、細かな部分にいつも気を配って、愛情をもって接することじゃないですかね。窓ガラス1枚でも、愛着をもって大切にしていれば、埃だらけのままで放って置けなくなるはず。いつも感謝して接するというか、それってモノだけでなく人に対しても同じことです。人の場合は、もっと難しいですけどね(笑)。
いつまでも誰かのサポート役じゃなくて、自分のできることで生きがいを見つけてほしい。
そうですね、これは創業以来、ずっと変わらない方針です。
メンテナンス業務に心を尽くすのはもちろんですが、まずは働いてくれる従業員たちを大切にしないといけない。うちは何か商品を作るのではなくて、人が働いて成り立つ仕事ですから。
これもね、最初はほんとうに手探り状態でしたよ。でも、いろいろな人たちに出会って学ばせていただいて、ときどき失敗もしながら今に至っています。
現在、障害者雇用率は23.1%(2010年6月現在)です。みんな一生懸命働いてくれています。
本格的に障害者雇用をしてから5年になります。その初年度採用の女の子(現在、23才)がいますが、当初は自立支援センターから歩いて来られる現場だけだったんです。でも、今ではアパートを借りて、一人で電車に乗って通勤していますよ。今では会社の戦力。飲み会にも参加するようになったしね(笑)。
これは別のケースですが、ある職場で前の業者さんで雇われていた知的障がいの女の子がいたんですね。
通常なら専任支援者を付けてあげないといけないのに、代わりにお母さんとセットで雇われていたんです。それも2人で1人分のパートタイマーとしてね。
お母さんの方も娘を自立させたいから、朝早くから一緒に来て掃除の手ほどきをしておられたのですが、そんなことでは保険にも加入できないし、生活できませんよ。
そんなの自立支援じゃないんです。
そういう状況が続いていたので、娘さんもお母さんと一緒でないと業務ができなかったんですが、しばらくタイミングを見て「そろそろ一人でどう?」と持ちかけました。お母さんも、本当は独り立ちしてほしいという気持ちをお持ちでしたし、本人も同意してくれたのでね。
今では、週30時間ですが社会保険にも加入し、お母さんを扶養家族に入れてあげることができたんです。
そうです。障がいは人によってさまざまですから、できる作業もいろいろ。それぞれに自分ができることで、生き甲斐を見つけてほしいと思っています。いつまでもアシスタントではなく、自分に任されているという歓びをね。
そのためには、メンタル面で会社がいかにサポートできるかです。まずは精神面が落ち着いて、それから本格的に仕事って感じですね。会社としては、いつでも相談できる場所と社内にいる14名の障害者職業生活相談員がサポートしています。
これはね、新たな取り組みなんですが、まずは吹田市にグループホーム「明日葉」を平成22年12月1日に開設しました。高齢者(特に認知症)の方を抱えて、働きたいのに働けない方々もたくさんいらっしゃると思います。そんな方の手助けと、また弊社には、たくさんの就職困難者(特に高齢者)の方に働いて頂いています。個人差はありますが、70歳までの定年延長もしておりますが、その方々が、認知症等で働けなくなったら・・・・・そんな思いと、今まで働いて頂いた皆さまへの恩返しのつもりで、この事業をスタートさせることにしました。
ええ、精進していきたいと思っています。
愛情をもって日々接していれば、小さな変化にも気づいて対応してあげることができるはず。大切にする、思いやるという気持は、そのままメンテナンスにつながるのだと思います。
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